おこられてる
「1票の格差」が最大で2.43倍だった昨年12月に実施された衆院選に関して,昨日の広島高裁本庁に続き本日,広島高裁岡山支部にて違憲無効判決が出ました。
これまで「違憲」「違憲状態」(選挙自体は有効のまま)という判決は何度も出ていたものの,「選挙が無効」としたのは昨日の広島高裁本庁が初めてです。
ちなみに「1票の格差」とは選出される議員1人当たりの有権者数が選挙区によって違うことです。これは,憲法14条1項で保障される平等原則から生じる問題でいわゆる一票の重みが選挙区ごと異なってはいかんということです。
ですが,都道府県ごとにまず一議席ずつ配分してから残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」ではどうしても生じてしまう問題です。2011年3月最高裁はこの方式について格差を生む原因だと指摘して廃止を求めています。
なお,去年11月の衆議院解散の直前に,一票の格差是正のため小選挙区を「0増5減」とする法案(議席数を5つ減らして調整する)を成立させていますが,12月の選挙においては実現されていませんでした。
そんな経緯のもとに行われた衆院選に関する今日の判決は,
『おととし最高裁が『憲法違反の状態』と指摘してから選挙までのおよそ1年9か月は、衆議院議員の任期のおよそ半分に当たるので、区割りなどを改定するのに不十分だったとは到底言えない。国会は選挙前、駆け込み的に「0増5減」の法律を成立させたのみで、選挙までに格差を是正しなかったことは怠慢であり、司法判断に対する甚だしい軽視というほかない』
と国会の対応を厳しく批判したようです。
また,今日の判決は,昨日と違い猶予期間を設けていません。やり直しするとしたら色々と混乱が予想されちょっと心配な気もします。なんせ初めてのケースでしょうから。
「0増5減」の成立は,野田元総理大臣と谷垣元自民党総裁との党首会談において衆議院解散の条件とされていたという話は記憶に新しいところです。
その期間は,大変政局が不安定な時期でしたが批判は仕方ないように思います。
なお,1票の価値が最も軽いとされた千葉4区は野田元総理のお膝元であります。