東京都に住む会社員が、自宅で飼っている雌のトイプードルの顔面を蹴ったり、腹部を踏みつけたりするなどした動画がインターネット上に公開されたことを受けて、神奈川県警が会社員の他に横浜市の少年2人の計3人を動物愛護法違反容疑で横浜地検に書類送検したことがニュースになっています。
なんでも、少年二人が女性になりすまして、無料通話アプリにて「動物を虐待する動画が見たい」と要望したところ、会社員が飼い犬を虐待する動画を自ら撮影してアプリに送信したとか。
そしてそれを別の少年が動画サイトに投稿して、会社員に対して架空の動物愛護団体を装い「犬を虐待している動画を見た。犬を保護されたくなかったら罰金4万円払え」などと電話し、会社員から現金をだまし取ろうとしたという顛末のようです。
なお、投稿された動画は、動画サイトにてリスナーからの批判が続出したために、少年達は現金の詐取はあきらめたとか。
何というか、他愛もない話ですが、掻い摘まんで考えてみると色々と興味深い点も多い事件です。
ちなみに、トイプードルってすごくお高いみたいですね。ネットで販売価格をみると安くても30万前後、中には7桁の価格帯もあるようです。
もっとも、現在ペットとして飼われている方からしてみれば、家族同然のペットを値踏みするというのは少し違和感を覚える事とおもいますが、これもまた不思議な心理と思います。
どなたかから譲って貰ったという訳でもない限り、やっぱりお金を払って家族の一員として迎え入れたことでしょう。
それは、やっぱり日常生活をともにする中でペットを擬人化しているという部分があるのかも知れません。それ自体は少しもおかしな事とは思いませんし、むしろ多少はそう考えるところがないと、マメに世話など出来ないように思えます。
そして、ペット(犬や猫レベルの知能であれば)から見ても人間と同じ立場でいると思しき反応が見て取れたりするから、人間視点で言えば愛情のようなものが相互に芽生えていると思えるのではないでしょうか。
で、例の会社員にもそういったところが全くないとは思えません。
たぶん、あったと私は考えます。
なお、その会社員が撮影したと思しき動画の内容は、トイプードルの顔面を蹴ったり、腹部を踏みつけたり、頭をわしづかみにしてベッドに叩きつけたりと、多少加減していることは分かるものの虐待と言われて文句の付けようのないくらいで、動画サイトが騒然としたのもうなずけます。
トイプードルが面食らってる感じで、主人に無抵抗のままいたぶられていて、個人的にはちょっと見てられませんでした。
この行為に及んでいたとき、ペットのトイプードルに対して如何様な心持ちであったのでしょうか。それまで家族と同じように考えて暮らしていたのであれば、たとえ動物であったとしてもこの行為には、支配者が被支配者に及ぼしたと同じような残酷性が伺えると思います。
ペットは、生殺与奪を握っている人間には従順であるより仕方がないと考えたかも知れません。それは、人間である我々がそう考えるからかも知れませんが、動物的な本能とも考えられます。
いずれにしても、主従の関係において主の立場を笠に着て、無抵抗な相手をなぶることは人間社会では残酷と言われるでしょう。
そこまでのことをする動機というのが、少年二人がなりすました女性に嫌われたくなかったということ、いや、正確には女性からと思い込んだ文字情報に対してのことです。
そう考えるとずいぶんと強い思い込みという前に、多少擬人化していたであろうペットに対する思い入れと、文字情報に対する思い込みとの対比でなぜに後者が心理の中で優勢となったかというところが非常に気になります。
普通に考えれば、女性がペットを虐待する動画を見たがるとは思えませんし、もしいたとしたら嫌われても結構と思うはずです。
ましてや、現実にあったことがないし、直に会話を交わしたこともない(LINE分からないんですが)相手にいったいどんな夢を見たのでしょう。
ここらで気がつくのは、会社員が思い込んでいたすべてのことに相対性がない様に思えます。
善悪や好き嫌いなど様々な物事は相対的な分類ができると思うのですが、これをまったく想定していないことが指摘できると思います。
女性と思い込んでた文字情報に男性を想像しなかったり、「嫌われたくない」という心理に「こんなやつに好かれたら・・・」といった事が想像できないことは、思考の欠落といえると思います。
もっとも、彼だけ責めることはできません。日本全体がそうなんです。
憲法9条は守ろう。米軍基地は追い出せ。自衛隊は違憲だ。中国の覇権は脅威だ。
じゃあいったいどうするのですか。