朝三暮四
台風で大損害を受けたフィリピンでは,被災地に救援物資が届けられず,救援活動は難航しているようです。とても心配です。
もう,フィリピンという国家だけではとても復興するのは困難な大惨事となっている模様で,各国から救援部隊が出動することと思われます。
日本も大震災でお世話になりましたし,政府は自衛隊を千人規模で派遣するとの事です。
ここ最近,日本に訪れる台風もちょっと洒落にならなくなっていますし,これは対岸の火事とはいえないと思います。
高度経済成長期に整備したインフラも老朽してきていることから防災対策は喫緊の課題といえるでしょう。
そのことに関係あるかどうか分かりませんが,今日のニュースです。
政府は14日、民間よりも高い高齢層や地方勤務の国家公務員給与の抑制策を検討するよう人事院に要請することを決めたそうです。
なんでも,国家公務員の給与は,東日本大震災からの復興財源捻出のため,12年度から平均7.8%減額されているそうですが,平成14年4月からは元の水準に戻す方針が決まっているとの事です。
しかし,消費税率の引き上げ時期と重なることから,「国民に負担増を求める一方,公務員給与を実質的に引き上げることになり,批判を招く可能性がある」との理由で,引き続き人件費を抑制する政策を検討しているということだそうです。
この話を聞いて,ハッキリ言いますと政府に対してかなりムカッときています。
このニュースにおいて,私は消費税によって負担増を求まられる国民側で,それにともなう形で給与を下げられる公務員ではありません。
ですが,これによると来年の4月から消費税の増税で家計の負担が増えることになる我々国民は,国家公務員の給与が上がる(元通りとなる)とそれを妬んで批判するようなのです。
しかも,その妬みは国家公務員の給与を下げることで溜飲が下がると思われています。
これじゃあ,「朝三暮四」の四文字熟語で言うサルと同じです。完全にバカにされています。
そもそも,消費税増税において深刻な問題は,家計の負担が増えることもそうなのですが,その影響で買い渋りが起きて消費者物価の下落,すなわちデフレの促進であるといわれています。
その財政の壁が,来年の4月に訪れることになります。
その壁を乗り越えて軟着陸する方法が,消費者の購買意欲をいかに損ねないかということだとすると,所得が安定している消費者がなるべく多い方が需要の下落幅が浅いことになります。
にもかかわらず,国家公務員という職業からさえ安定を削ってしまうと,国内の消費活動に影響が出るばかりか,賃金におけるモラルハザードが民間においても起こりそうな予感がします。
ましてや,経団連に対して賃上げを求めたところ,公務員の給与を基準の参考にしているという回答があったという話を聞きました。
つまりは,「人を呪わば穴二つ」ということで,国家公務員の安定した給与を妬めば妬むほど自分に帰ってくるわけです。
もちろん,日本国民の労働者のほとんどは,そんなバカげた批判をするはずないのですが,誰も批判した覚えが無いのに大多数が批判したと報道されることに。。。。。
そういえば,日本におけるかつての不動産バブルにおいて,海外からは軟着陸したと評価する向きもあるそうで,その原因のひとつに終身雇用制が挙げられていたそうです。
要は,バブルがはじけた後も住宅需要などが,それほど大きく減らなかったという評価でしょう。
もっとも,当時の橋本政権において,バブルの後始末として財政緊縮政策と公共事業費の削減した結果,日本は長いデフレ不況に陥りそして未だにデフレを解消することが出来ていません。
だから現在の状況は,企業も消費者もお金を使わないで貯めているのが現状で,だから民間労働者に分配されにくくなっているわけです。
企業の立場からすれば消費者がお金を使わないのであれば設備投資したり人材を増やすより内部留保を増やした方がよい訳で,消費者からすれば会社の給与が下がっているのであれば貯めておいたほうが安心なわけです。
そして,物価が下がる分貨幣価値も上がります。
そうやって,どんどん不況の谷底に落ちていったのがこれまでデフレが続いた経緯なのです。
そうであれば,すくなくとも公務員には安定した給与を保障した方が,消費活動の維持に資するでしょうし,累進性により所得の多い者から多く取った税金が民間に分配される機会となるはずです。
ですので,足の引っ張り合いはかえって自分の首を絞めることになるのです。
しかし,ある特定の人達を敵を定めて大衆に攻撃を唆した方が,大衆というのは与し易くなり,かつ批判を体制への批判を逸らすことができるのだと思います。。
こんなことしてた人,ちょっと前でもいませんでしたか。
突然しゃしゃり出てきて,原発についていい加減なこと言ってる元総理。