昨日,四街道の駅前のマクドナルドの前を通る際に店内を覗くとカウンターの前に行列ができていました。
マクドナルドはここ最近新しい企画を打ち出しているようだけど結構入っているんだなぁと少々感心しながら通り過ぎました。
そういえば,日本マクドナルドの創業者故藤田田氏(打ち間違いではないです。)が生前にこんな言葉を仰っていたようです。「世の中の動きというのは、実態はみんなが考えているよりも速い。だから現場を知らない机上の政策はいつも後手後手に回るのだ。」
ですって・・・
藤田田氏は,戦後混乱期の1950年に東大在学しながら輸入雑貨販売店「藤田商店」を設立して若くして実業家の道を歩んだ方です。
なお,そのちょっと前の1948年に同じく東大在学中に貸金事業「光クラブ」を設立した山崎晃嗣という方がいたようです。同じ東大ということで藤田氏は「光クラブ」への出資者だったようです。
「光クラブ」は,開業後すぐに著しい成長を遂げますが,1949年7月4日に山崎氏が物価統制令違反で逮捕されたことをきっかけに出資者の信用を失い「光クラブ」の業績は急降下していき出資者から取り付け騒ぎがおきました。そのため,同年9月に債権者集会を開きその場で債務の一部を11月25日までに支払うことを約束しますが,11月24日深夜本社の一室で青酸カリを飲んで自殺しました。27歳でした。遺書にはこのような言葉が残されていました。「契約は人間と人間との間を拘束するもので、死人という物体には適用されぬ。私は事情変更の原則を適用するために死ぬ。私は物体にかえることによって理論的統一をまっとうする」。
興味深い話として自殺直前に山崎氏は藤田氏に資金繰りが行き詰まったことを相談したようです。それに対して,藤田氏の一言「法的に解決することを望むなら、君が消えることだ」
なお,藤田氏は自殺直前に山崎氏から出資金をきっちり回収していたようです。
山崎氏のモットーは「人間の性は,本来,傲慢,卑劣,邪悪,矛盾であるが故に,私は人間を根本的に信用しない」ということだったようです。
このような考えは,戦争中の配属先で上司のリンチにより同級生が死亡した事実を隠匿されたり,上官たちの物資横領横流し事件に巻き込まれ,執行猶予付きの有罪判決を受けてしまったりした暗い経験によるものと言われています。
このような考えのもと山崎氏は6人の愛人を囲いその一人から“あなたは人の誠意が解らぬひとだ”と咎められたときに「誠意とはいいわけと小利口に逃げることである。私の誠意を見てくださいという言葉ほど履行されぬものはない。人は合意にのみ拘束される」と言い放ったそうです。
しかし,愛人の一人が税務署に恋人をもつスパイで彼女を通じて「光クラブ」の経営実態が税務署に筒抜けになり,結果山崎氏は逮捕されてしまったそうです。法律に通じていた山崎氏は不起訴となりますが,それをきっかけに転落の一途をたどります。
この戦後の混乱期に禍々しい光を放ちながら猛スピードで消えて行ってしまう彗星のような生き様は,どこか人の目を引きつけます。
人を信用しないことをモットーにおきながら,愛人に嵌められるところなど一見して間抜けな感じに見えますが,法律知識に関する絶対的な自信によりどんな境遇からも切り抜けることができるという自負心からくる余裕という風にも感じます。
合理主義に強いこだわりを持ったために非合理な部分に気づけなかったのかも知れません。ある意味徹底して一貫した合理主義といえるかも知れません。
なお,藤田田氏は「仕事で一番大切なことを挙げるなら,それは「信用」だ」と言う言葉を残しているそうです。
依頼者さんからの頂き物です。どうもありがとうございました。