福岡・北九州市で幼い子どもを含む男女7人が殺害された事件で、殺人や監禁などの罪に問われている男の上告審で,最高裁判所は上告を退ける判決を言い渡したようです。これで男の死刑が確定することになりました。
この男は,非常に饒舌で人に言葉巧みに近づいて信用させる一方で、何かしらの弱みを握りその相手に対して様々な暴力・虐待を強いたそうです。また,病的な嘘つきだったらしいのですが,一見して礼儀正しく愛想が良かったとのことなので被害者は男の本性を見誤ってしまったのだと思います。
この事件の概要を知ってふと思ったのですが,話し手の印象や意図的な事実の解釈などにより疑わしい話を信じさせてしまうことがあると思いました。
例えば,友人と一緒に入ったレストランで食事を済ませたあと「ウェイトレスがチラチラとこっちをみている。俺に気があるんだ」といった話を友人からされたとします。友人はこの話を「ウェイトレスは俺に気がある」という自慢をしたくて話したとします。この場合,友人のルックスが良いほど話を信じやすいと思います。同じ話でも話す人によって印象が変わると思います。
しかし,チラチラとこっちをみている事実と友人の印象意外にも判断する材料はあります。たとえば,レストランで食事を済ませた後にウェイトレスがこちらを伺っている事実をつなぎ合わせてみます。するとウェイトレスは空いたお皿を下げるタイミングを見計らっていると考える方が自然なような気がします。
このように「ウェイトレスは俺に気がある」という憶測とその他の事実を分けて考えることで話の信憑性は変わってきます。
特に訪問販売など何かを売り込みにくるときに憶測(あるいは嘘)による印象操作が多く見受けられますので,大事なことを判断するときには憶測や印象と確かな事実をしっかり分けて判断することをお勧めします。